白書の概要

 

近年、技能実習生が急増しています。

日本で働いている外国籍の人約120万人のうち、2割にあたる約25万人が技能実習生。

特に愛知県は、その数が全国でダントツ1位(約2.8万人)です。

…でも、私たちは技能実習生のことをどれくらい正しく理解できているでしょうか?

 

在留資格は約30種

日本に3ヶ月以上滞在する人は、「在留資格」を取得しなければなりません。

その数、約30種。

最も多いのは「永住者」で、全体の約3分の1を占めます。

「特別永住者」「留学」「技能実習」の在留資格をもつ人が、約1割ずつ。

全体で250万人以上の人が日本に滞在しています。(2017年末:2,561,848人)

(▲主な在留資格)

 

急増しているのは3種

 

上記在留資格のうち、急増しているのは「留学」「技能実習」「技術・人文知識・国際業務」の3種類です。

このうち、留学生は週28時間以内のアルバイトしかできず、それ以上働いた場合は入管法違反となります。「技能実習」と「技術・人文知識・国際業務」は日本人の一般労働者と同じく、労働基準法が適用されます。

 

あいちの外国人雇用主 年間1,700社増

▲愛知県における外国人雇用事業所数および外国人労働者数の推移
(出典:厚生労働省,「外国人雇用状況」の届出状況)

 

外国人の増加にともない、外国人雇用事業所の数も急増しています。

愛知県の場合、ここ数年は年間1,000社以上が新たに外国人雇用を始めています。

 

コミュニケーションできてる?

では、外国人を雇用している職場では、どのようなことが問題となっているでしょうか?

私たちは特にコミュニケーションの問題に焦点をしぼり、4ヶ国語(英語・中国語・ベトナム語・タガログ語)でアンケート調査を行いました。その結果、266人(うち176人は技能実習生)の外国人労働者から回答があり、仕事において日本語での会話に困っている人は8割を超えることが分かりました。また、5割以上の人が「理解できていなくても”はい”と答える時がある」と回答し、コミュニケーション上のトラブルが少なからず起きていることが想定される結果となりました。

 


はじめの3ヶ月が大変

また、コミュニケーションの実態をより詳しく探るため、技能実習生16人にヒアリング調査を行いました。その結果、技能実習生は日本語の事前学習期間が短いこともあり、来日後に様々なコミュニケーション上の問題を抱えていることがわかりました。

▼技能実習生から聞かれた声(抜粋)

  • 来日後、あまりに違いがありすぎてカルチャーショックに陥った
  • 新人に対する作業の教え方が丁寧じゃない
  • 方言がわからない
  • 日本人が実際に話す日本語は速くて聞き取れない
  • 仕事では教科書で習っていない日本語ばかりで混乱する
  • 女言葉と男言葉の判別が難しい
  • 似ている言葉の使い分けがわからない
  • 日本語がうまく話せないために質問ができない
  • わからない時に説明を求めると、さらに難しい日本語で説明される
  • 日本人が何を考えているのか価値観がわからない
  • 不満や要望を伝えると意外な受け取られ方をして逆効果になる(伝え方が難しい)

 

>白書をチラ見(ベトナム人技能実習生の対談)

 

企業も試行錯誤

一方で、特に外国人を長年雇用している企業では、コミュニケーションを促すための様々な取り組みが行われています。

本書では、15社に対するヒアリング調査から洗い出した現状および課題と、先進的な取り組みを行っている4社の事例を紹介しています。

また、各地にあるボランティアベースの日本語教室でも、急増する技能実習生への対応が模索されています。労働者としてだけでなく、地域住民としてどのように外国人を受け入れ、支え合っていくか…。様々な立場の人が知恵を出し合い、より良い方法を見出していくことが大切ではないでしょうか。

▲地域のボランティアによる企業内での日本語教室
(東陽精機株式会社にて、とよた日本語学習支援システム)

 

これからどうなる?ー展望と課題ー

政府は、2019年4月に新しい在留資格を創設し、外国人労働者の受け入れを加速させる方針です。しかしこのまま外国人が増え続けて、大丈夫でしょうか?

いえ、実際には、外国人が増えるか否かにかかわらず、また技能実習制度が将来どうなるかにもかかわらず、今すぐ始めるべき取り組みはたくさんあります。

《調査で見えてきた “今すぐ必要な取り組み” 》

・外国人向け:日本人の価値観や仕事上の常識、マナーなどを分かりやすく解説

・外国人向け:働きながら学べる日本語教育システムの開発

・外国人向け:生活や仕事上での困り事に対応できる相談窓口の設置

・中小企業向け:異文化理解やコミュニケーションのコツが学べるセミナー等

・中小企業向け:面接や人事評価、社員教育のポイントが学べるセミナー等

・通訳者向け:言葉だけでなく、国民性や文化背景も踏まえた通訳スキルの向上セミナー

・一般向け:異文化理解や人権意識向上のための啓発

 

経済成長が著しいアジア各国では、優秀な労働力確保がどの国にとっても重要課題になっています。もはや、経済大国の名のもとであぐらをかいていては、日本は選ばれない国になってしまい兼ねません。

日本人も外国人も働きやすい職場づくりを目指して、政策提言や支援事業の開発など、私たちにできることを考えていきたいと思います。

 

(あいちの働く外国人白書2018編集委員会)

 

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